導入事例

2023.03.03

DeepEyeVision 株式会社様

AIサーバ「NVIDIA DGX A100」、ラックマウントサーバ「HPCT RS2X32」、静音ラック「HPCT SR80」を導入いただきました。

DeepEyeVision 株式会社 代表取締役CEO 髙橋秀徳 様にお話を伺いました。

自治医大発の「AIの力で失明を減らす」スタートアップ企業

DeepEyeVision 株式会社は、AIの力で眼科医療の水準を向上させ、失明を減らすことをビジョンとする自治医科大学眼科学講座発のスタートアップ企業です。同社は、眼底写真を AIによって遠隔読影するサービスや医療機器プログラム(眼科向け画像診断支援 AI)を開発・販売しています。目は透明な臓器なので、眼底写真に写った神経や血管を診ることで、糖尿病や高血圧といった全身疾患の早期発見も可能になります。

事業内容

  • 眼科向け画像診断支援AIの開発
  • 眼科向け遠隔読影サービスの提供

 

DeepEyeVision 株式会社

https://deepeyevision.com/

本社所在地
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 自治医科大学眼科学講座内

NVIDIA DGX A100 サーバが画像診断支援AIの開発を加速

DeepEyeVision株式会社様は、眼底写真の画像診断支援 AIや遠隔読影サービスの開発・販売を業務としています。代表取締役 CEOを務める髙橋秀徳様は、2012年にディープラーニングによって画像識別の精度が大きく上がったことを知って、すぐにAIの研究を開始し、眼底写真の画像診断支援AIの開発に成功しました。髙橋様は、自分で作った画像診断支援AIを広めるために、DeepEyeVisionを創業したのです。

この度、同社の AI開発を加速するために、HPCテックは AIサーバ NVIDIA DGX A100、ストレージサーバ HPCT RS2X32、静音ラック HPCT SR80 から構成されるシステムを同社に提案し、設置・導入まで行いました。

髙橋様から貴重なお時間をいただき、同社が目指しているものや今回導入したシステムをどのように活用しているのか、質問をさせていただきました。

 

DeepEyeVision様の業務内容を教えてください。
私たちは、AIの力で眼科医療の水準を向上させ、失明を減らすことをビジョンとするスタートアップです。自治医科大学から誕生した初のスタートアップでもあります。最初の業務内容は、AIを活用した検診の眼底写真の遠隔読影サービスで、実際にさまざまな場所で利用されています。このサービスが各医療機関に導入されることで、診断結果のばらつきを小さくすることができ、へき地を含む日本全体の眼科医療が高度化されます。次に開発したのが、眼底カメラなどの医療機器とあわせて使用する眼底画像診断支援 AIです。

 

最先端のディープラーニング技術を用いて、眼の疾患をはじめ、糖尿病などの全身疾患などの早期発見を可能にする眼底画像診断支援 AIとはどんなものでしょうか。
目は透明な臓器なので、眼底写真に写った神経や血管を診ることで、糖尿病や高血圧といった全身疾患の早期発見も可能になります。これまでは、経験を積んだ読影医が眼底写真を見て診断を行っていましたが、弊社はディープラーニングを利用した眼底画像診断支援 AIを開発しました。この AIを利用すれば、1枚の眼底写真から診断候補を確率ともに提示してくれます。

 

導入した NVIDIA DGX A100 は画像解析で使われていると思いますが詳しく教えてください。
ディープラーニングによる画像識別の精度を上げるためには、数多くの画像を学習させる必要があります。弊社では 50万枚以上もの眼底写真を学習させていますが、その学習には高い演算能力が要求されます。これまでは、私が構築した GPUを 4基搭載したサーバやクラウドの計算資源を利用してきましたが、今後取り組もうと考えている手術動画の学習には、さらに高い性能が必要になります。そこで今回、NVIDIA A100を 8基搭載した NVIDIA DGX A100 を導入することにしました。

 

NVIDIA DGX A100 を利用することで、AIの学習速度はどれくらい向上しましたでしょうか。
基本的に 2倍以上の性能は出ています。また、外部のクラウドで学習するときのシステムと共通な点が多いので、コードの改変が不要でそのままクラウドでも DGXでも走らせられるのは便利です。AIを開発しているエンジニアは、AIをいろんなパターンで試して、その結果が一番良かったものを採用するといったことをよくやっています。計算資源が少なくても時間をかければ同じことはできますが、NVIDIA DGX A100の導入により巨大な計算資源で一気に複数のパターンを試せるようになったことは、とても喜ばれています。

 

ストレージサーバに求めるものは何でしょうか。
病院では個人情報の取り扱いに非常に厳格さが求められます。倫理委員会を通してクラウドに情報を保存することの承認自体は取っていますが、無闇に外に出すのは躊躇われることもあって、院内にある程度の容量のストレージが欲しくなります。もちろん、パフォーマンスも重要です。AIサーバとストレージサーバを高速な回線で結んでマウントして学習できれば、開発効率が上がります。そこで今回は、オールフラッシュの高速ストレージを導入しました。ストレージの性能も期待通りでした。

 

静音ラックを導入されましたが、サーバルーム以外の場所に設置されているのでしょうか。
専用サーバルームがあるわけではなく、自治医大内の通常の部屋をサーバルームとして使っているため、隣の部屋や外の廊下に音が漏れるようなことがあっては困ります。今回導入した静音ラックの静音性能は高く、ラックの蓋を閉めると、周囲に音が漏れるようなことはありませんでした。

 

NVIDIA DGX A100 の導入の際に、何か苦労した点はありましたでしょうか。
病院内への導入なので、IPアドレスを配布してもらうのにちょっと時間がかかったりしましたが、導入そのものはスムーズでした。HPCテックさんの対応もよく、納期やサポート面についても満足しています。

 

今後の展望を教えてください。
現在は、1枚 1枚独立した画像に対して診断や病変部の領域推論を行っていますが、今後はこうした診断に関しても、動画や複数の検査機器の情報から総合的に判断するような、より高度なAIを開発したいと思っています。実際の医者も、1枚の画像だけを見て診断するのは検診のときだけで、病院の患者に対してはいろんな機器での検査結果を見て判断しています。そういった高度な AIを作るには、もっと多くの計算資源やメモリが必要になりますので、NVIDIAの今後の製品にも期待しています。

高橋先生、ご多忙のところ HPCテック導入事例掲載にご協力をいただき誠にありがとうございました。少しでも研究活動にお役にたてる様、スタッフ一同微力ながらお手伝いをさせていただきます。

導入システム

 

NVIDIA DGX A100 カタログダウンロード

NVIDIA DGX A100

 

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